ご挨拶

事業統括 古庄 知己

信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター 教授

NGSDプロジェクトに興味を持っていただき、ありがとうございます。事業統括をつとめております信州大学の古庄知己(こしょうともき)と申します。

NGSDプロジェクトは、2014年10月〜2019年3月に実施された『難病克服!次世代スーパードクターの育成(NGSDプロジェクト):ゲノム時代の難治性疾患マネジメントを担うオールラウンド臨床遺伝専門医の育成と全国遺伝子医療部門連絡会議を介した全国展開』と題する文部科学省課題解決型高度医療人養成プログラムです。中央診療部門として独立した遺伝子医療部門を有し、全国遺伝子医療部門連絡会議の中心的存在として活動する6大学(信州大学、札幌医科大学、東京女子医科大学、千葉大学、京都大学、鳥取大学)が協力して開始しました。目的は、“難病”の主な部分を占める遺伝性・先天性疾患を有する患者・家族を、診療科(臓器)横断的に、世代を超えて縦断的に診療(遺伝カウンセリング含め)できる臨床遺伝専門医を育成することでした。

1年間1校1名の専攻医を受け入れ、自施設での徹底的なOn the Job Training(OJT)と他施設での短期研修を通じて、合計23名のスーパードクターを育成しました。専攻医以外にも集中的に遺伝カウンセリングや遺伝学的検査の経験を積めるインテンシブコースも整備され、合計46名が学びました。その中から、遺伝医学・遺伝医療関連教室・部署の教員が4人、臨床遺伝専門医が5人誕生しました。

2019年度、全国遺伝子医療部門連絡会議の支援を得て、6大学による独立したプロジェクト「NGSD(第2期)」として船出し、ゲノム医療の重要性は、難病医療のみならず、がんゲノム医療、周産期医療を含め、遺伝要因が発症に関わるあらゆる疾患領域に及んでいます。2024年からは、岡山大学を加えた7大学の協力で、専攻医コース、インテンシブコースを通じて、我が国の次世代ゲノム医療を牽引する診療科横断的な臨床遺伝専門医を育成しています。

また、2023年11月から、認定遺伝カウンセラーを対象としたコースNG-CGC(Next Generation Certified Genetic Counselor)と遺伝学的検査専門家を対象としたコースNG-GTP(Next Generation Genetic Testing Professional)を開設しました。様々な施設のOJTを通じて経験を積むことは、認定遺伝カウンセラーにとっても、遺伝学的検査専門家にとっても有用なことであると考えます。

奮って応募下さいますようお願い申し上げます。

コース責任者挨拶

信州大学コース

コース責任者
古庄 知己
信州大学
医学部附属病院
遺伝子医療研究センター 教授

信州大学では、専攻医は医員として附属病院遺伝子医療研究センターに採用され、指導医のもとOn the Job Training(OJT)に取り組んでいただきます。本学の特徴としては、数および多彩さにおいて全国最高レベルの外来と全国をリードするクリニカルシークエンス体制を背景に、小児期から老年期に渡る全領域の患者様に対して、遺伝学的エビデンスを駆使した最先端の医療を実践できることが挙げられます。札幌医科大学、千葉大学、東京女子医科大学、京都大学、鳥取大学、岡山大学の中から、希望の1-2大学で短期間の研修をすることができます。こうした総合的研修を通じて、診療科横断的な遺伝医療を展開する素養を身につけることができます。臨床遺伝専門医を取得し、全国遺伝子医療部門連絡会議維持機関など遺伝医療の拠点施設において活躍する人材の育成を目指します。

インテンシブコースでは、個々人の希望や事情に合わせた柔軟なプログラムで、自施設では経験できない領域の遺伝診療のOJTの機会を提供し、臨床遺伝専門医の取得を目指します。

遺伝性・先天性疾患を中心とする難病のマネジメントのみならず、がんゲノム医療、周産期遺伝医療など様々な領域の遺伝医療に興味のある方、特に、臨床遺伝専門医取得を目指す方のご応募をお待ちしております。

札幌医科大学コース

コース責任者
櫻井 晃洋
札幌医科大学医学部
遺伝医学 教授

札幌医科⼤学では遺伝性腫瘍をはじめとして、さまざまな先天性・遺伝性疾患における、ゲノム・遺伝医療を院内外の関連診療科・診療部門と連携して診療を実践しています。北海道という広い地域をカバーするための、遺伝医療ネットワーク構築の取り組みについても学ぶことができます。また、研究として腫瘍細胞を⽤いた網羅的ゲノム解析も⾏っております。

本コースの研修では、このような診療や研究を経験することができます。

これらの内容については4週間コースでも効率的に習得できるように研修プログラムコースを⽤意しています。

千葉大学コース

コース責任者
松下 一之
千葉大学
医学部附属病院
検査部部長・遺伝子診療部 診療教授

当院では遺伝子診療部と検査部が一体となって活動しているので、幅広い疾患の遺伝カウンセリングに加え、次世代シーケンサーも含めた遺伝子関連検査の実施から結果の解釈まで広く学ぶことができます。

また、心理士、ソーシャルワーカー、薬剤師などと共にチーム遺伝医療を実践しており、ファーマコゲノミクス、難病支援などを通して多職種連携の重要性を学べます。

4週間コースでは主に臨床遺伝学的検査についての研修が可能です。

東京女子医科大学コース

コース責任者
山本 俊至
東京女子医科大学大学院医学研究科先端生命医科学系専攻遺伝子医学分野/
東京女子医科大学遺伝子医療センターゲノム診療科・教授

東京女子医科大学遺伝子医療センターゲノム診療科では、未診断難病からがんゲノム、周産期領域から生殖医療、そしてゲノムコピー数多型から全ゲノムシーケンスまで、つまり診療から基礎研究に至るまでシームレスに幅広い領域の遺伝学的検査・ゲノム研究に取り組んでいます。専攻医は関心のある領域の解析に直接関わることが可能で、遺伝学的検査を実施する前に行う遺伝カウンセリングから関わり、みずから解析・評価し、それを臨床に還元する過程を体験することができます。遺伝学的検査の結果を評価するには、データベースに直接アクセスして必要な情報を取捨選択するテクニックを習得することも重要です。そして、新たな知見は論文として公開することによって医学の進歩に貢献しなければなりません。このような鍛錬によって、最先端のゲノム医療を担える臨床遺伝専門医の育成を目指しています。

京都大学コース

コース責任者
小杉 眞司
京都大学大学院医学研究科
医療倫理学・遺伝医療学 教授

独立した遺伝子診療部門を日本でもっとも古くから開設している施設のひとつです。幅広く多彩な疾患、背景を持つクライエントに対するチーム医療による本格的な遺伝カウンセリングを習得することができます。

週4日勤務も選択でき、時間外手当も支給されることから経済的にも安定しています。診療科とのローテイションなども相談の上、可能です。

1週間コースでは、特に家族性腫瘍外来を担当していただきます。

鳥取大学コース

コース責任者
粟野 宏之
鳥取大学
研究推進機構研究基盤センター 教授/
医学部附属病院 遺伝子診療科 科長

鳥取大学では、遺伝学的検査、結果の解釈、結果告知、遺伝カウンセリングを実施しています。鳥取県から島根県の一部にわたる幅広い地域から小児・成人領域、遺伝性腫瘍、産科領域の患者/クライエントがお越しになります。

また、臨床研究で行っている全エクソームシークエンス/全ゲノム解析(WES/WGS)にも触れていただけます。

認定遺伝カウンセラー養成課程があり、大学院生もいますので、教育にも参加いただけると思います。

診療、研究、教育を通じて、遺伝医療の様々な経験を積んでいただけるものと考えています。

岡山大学コース

コース責任者
平沢 晃
岡山大学
学術研究院医歯薬学域 臨床遺伝子医療学分野 教授/
岡山大学病院 臨床遺伝子診療科 診療科長

本コースでは、臨床遺伝子診療科所属の3名の臨床遺伝専門医と4名の認定遺伝カウンセラーのもとで、充実した臨床遺伝の研修を受けることができます。院内には、さらに10名の臨床遺伝専門医が様々な診療科に在籍しており(小児科、小児神経科、脳神経内科、産婦人科、耳鼻咽喉科、消化器外科など)、新生児から高齢者まで疾患を問わず遺伝医療を提供しており、経験豊富なスタッフのもとで多様な臨床経験を積むことができます。

当大学はがんゲノム医療中核拠点病院であり、毎週のエキスパートパネル、院内外の人材育成を行っています。また、全51施設(2024年10月時点)が参加する中央西日本遺伝性腫瘍コホート研究を行っており、これらの取り組みも通じて、最新のがんゲノム医療に関する知見を学ぶことができます。さらに、当大学は大学病院内にとどまらず、地域医療機関における遺伝医療体制の構築にも力を入れており、地域との連携を重視した実践的な学びを提供しています。

現在、臨床遺伝専門医を目指して研修を行っている医師は、院内外合わせて28名(内科:19名、外科:9名. 2024年10月時点)おり、NGSD専攻医やインテンシブコースの受講者は、様々な分野での人材交流を通じて、より深い臨床遺伝の知識と技術を習得できます。

その他、学びの機会の一つとして「岡山臨床遺伝カンファレンス(約7回/年)」と「せとうち臨床遺伝研究会(1回/年)」を定期開催しています。これらは、様々な領域の専門家を講師として招聘し開催しており、これらを間近で聴講できる機会は貴重な経験になります。また、「せとうち臨床遺伝研究会(1回/年)」は聴講のみならず、発表の機会にもなっています。

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