NGSDプロジェクトとは?
難治性疾患にオールラウンドで対応できる医師のニーズが増大している今、①難治性疾患診断 ②遺伝性難病治療開発 ③難治性疾患療養支援の3つの能力を有する臨床遺伝専門医の育成と全国普及を図るプロジェクトです。
難治性疾患(難病)とは?
症例数が少なく、原因不明で、治療⽅法が確⽴しておらず、⽣活⾯への⻑期にわたる⽀障がある疾患
中央診療部門として遺伝子医療部門が設立されており、特色ある遺伝子医療を実践している6大学が連携して、1年間の on the job トレーニングプログラムを開発・実践します。
各大学は、本事業の研修を希望する医師(専攻医)を全国公募により、遺伝子医療部門所属の医員として毎年1名、1年間採用します。専攻医は、所属大学遺伝子医療部門で研修を行う以外に、他大学の4週間の研修プログラムに2つ以上参加します。
各大学で展開されている特色ある遺伝子医療(適切な遺伝学的検査の実施と遺伝カウンセリング、および遺伝子情報に基づく治療、等)を経験することにより、多様で幅の広い難治性疾患で必要とされるマネジメント能力、すなわちヒトゲノム解析・遺伝学的検査の実施、結果判定、結果告知、遺伝カウンセリング、難病患者支援、難治性疾患治療開発、等の能力を養います。さらに、全国遺伝子医療部門連絡会議を通じ、全国的な普及を図ります。
本事業の長期的展望
本事業で養われる医師の能力
- 人間の持つ多様性に配慮した医療を実践することができる。
- 十分な遺伝学的知識を有しているだけではなく、常に新しい知見を検索・吟味し、応用することができる。
- 遺伝学的診療およびケアを適切に提供できる。(家系情報、社会的環境、心理状況の聴取・解釈に基づく遺伝学的理解、リスク判定、診療録作成、等)
- 適切な遺伝学的検査を提案、実施できる。(分析的妥当性・臨床的妥当性・臨床的有用性の評価、確定診断・出生前診断・保因者診断・発症前診断・多因子遺伝におけるリスク診断、等の利点と限界の理解、 結果解釈と患者・家族との情報共有)
- エビデンスに基づく遺伝学的マネジメントを実施することができる。(マネジメント計画の立案、治療的介入の支援、当事者団体等の情報支援)
- 患者・家族の自律的決定をサポートするための遺伝カウンセリングを行うことができる。
キャリア教育・キャリア形成支援
(男女共同参画、働きやすい職場環境、勤務継続・復帰支援等も含む)
米国において、臨床遺伝専門医は基本領域の24の診療科の一つとして位置づけられていますが、わが国では歴史的経緯から、基本領域の専門医資格を取得した後に、研修を行う専門医として位置づけられています。臨床遺伝の素養を身につけることは、どの診療科であっても今後必要になることであるため、全ての医師のキャリア形成に有用です。難治性疾患マネジメントは、緊急性を要することは少なく計画的に仕事を行うことができることから、女性医師にとっても働きやすい分野であることを全国遺伝子医療部門連絡会議等を通じて積極的にアピールします。